乱読からのつぶやき

「僕は君たちに武器を配りたい」瀧本哲史

本書は、これから社会に旅立つ、あるいは旅立ったばかりの若者が、非情で残酷な日本社会を生き抜くための「ゲリラ戦」のすすめである。2011年に出版された本だが、現在読んでも役に立つ。

コモディティという概念、市場の出回る商品が個性を失ってしまい、消費者にとってみれば、どのメーカーのどの商品を買っても大差がない状態を「コモディティ化」という(中略)自分の仕事はどうだろう…

…おそらく日本は、長い間、士農工商という身分制度があり、なかでも武士と農民の影響力が強かったことが影響している。武士の持っていた「減私奉公」「武士は食わねど高楊枝」というメンタリティは、高度経済成長を支え「働きアリ」と呼ばれた日本のサラリーマンの精神性の原型を形作った。(中略)いずれにしろ日本人の多くは長年続いた封建制度に基づく搾取構造の中で、ある意味で飼いならされてしまったといえる。しかし、その状況は完全に終わった(中略)では、どうしていくか…

…「リベラル・アーツ」人間が歩んできた歴史や、過去の叡智の結晶である哲学、芸術や文学、自然科学全般について勉強する。そして、物事をさまざまな角度から批判的に考える能力。問題を発見し解決する能力。多様な人々とコミュニケーションする能力。深い人格と優れた身体能力を身につける。(中略)社会に出てから本当に意味を持つのは、インターネットにも、紙の本にも書いていない、自らが動いて夢中になりながら手に入れた知識だけだ。自分の力でやったことだけが、本物の自分の武器になるのである…

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若者へ、日々の生活や仕事を見つめ直し、投資家のあたまで考え、整理し直し、これから頑張っていって欲しいとエールを送る書。著者のやさしさを感じる。若くして亡くなられたのが惜しい。