乱読からのつぶやき

「小商いのすすめ」平川克美

移行期的混乱で、「有史以来初めての人口減を食い止める方策は、経済成長ではない。それとは反対の経済成長なしでもやっていける社会を考想することである。」と指摘している。東京オリンピック(1965年)から社会が変わったと書かれている。後半は、東日本大震災後、原子力発電問題のこともかかれている。

…人間の社会は、「貧しい」狩猟民の未開社会の時代から、数千年の歴史を経て「豊かな」資本主義の爛熟期に至る今日まで、人間が成長しておとなになるように、成長し続けてきたといえるのがろうか。そして、成長の結果が、もてあまして捨てるほどの商品に囲まれている世界の一方に、飢えや寒さで生死の間をさまようような貧困を大量に生み出している現在の市場経済の姿ということなら、社会の成長とは残酷なものだというほかはありません…

f:id:keis7777777:20210926225632j:plain

装幀:吉田篤弘吉田浩美 ミシマ社