乱読からのつぶやき

「中央線小説傑作選」南陀桜綾繫編

内田百閒、五木寛之小沼丹井伏鱒二上林暁原民喜太宰治吉村昭尾辻克彦黒井千次松本清張と豪華な作家作品で構成されている。

太宰治松本清張のハラハラドキドキ感が特に良かった。たまらん坂のエピソード探しも良い。

…同じ中央線沿線の武蔵野に住んでいるとはいえ、私の家は起伏から見放された平坦な土地の只中にある。今日、帰宅する電車の中で十数年ぶりに…

中公文庫オリジナル

「とりかえばや物語」田辺聖子

古典作品で田辺聖子氏が現代語訳し読みやすくなっている。あとがきによると、軍国主義の戦前では、退廃的な物語は読むことが出来なかった。この物語は、筋の面白さ、奇想天外なアイデア、人物像が生き生きしている、現代的な刺激に満ちていると評価している。平安時代のお話で、この時代も、今も大して変わらない考え方が面白い。

イラスト:いのまたむつみ

「推し、燃ゆ」宇佐見りん

実生活で思い通りに行かない時、精神を安定するために、何か縋りたくなる時がある。この小説の主人公は、アイドルグループの上野真幸くんがそれだった。その彼がファンを殴ってSNSで炎上する。推しの彼が普通の人になったら…

…携帯やテレビ画面には、あるいはステージと観客には、そのへだたりぶんの優しさがあると思う。相手と話して距離が近づくこともない、あたしが何をすることで関係性が壊れることもない、一定のへだたりのある場所で誰かの存在を感じ続けられることが、安らぎを与えてくれるということがあるように思う…

装丁:佐藤亜沙美 カバーイラスト:ダイスケリチャード

 

「河合隼雄の読書人生ー深層意識への道」河合隼雄

「深層意識への道」を復刊した文庫本。読んだ本を自分の人生の中で、どのように生かしたか、読書体験を通した自伝のような本。幼少の頃は、「少年俱楽部」「世界名作選」を兄たちと読める環境にあり、大学時代には、夏目漱石やホフマン等読んでいるのが興味深い。ユンク研究所、箱庭療法と心理学研究者の流れも分かる。「意識と本質」井筒俊彦、「とりかへばや物語」(日本古典)は読みたくなった。

…リミットは境界です。われわれが普通に生活している日常生活というのはいろいろな構造をもっています。男と女、目上と目下、金持ちと何とか(略)われわれはそれなりの秩序を保っています。(略)人間というのは、そういう日常生活の境界を越えて、リミナリティ(境界領域)の世界に入ることが非常に大切なことです(略)分かりやすいのが無礼講というもの…

岩波現代文庫

「アポロンの島」小川国夫

小川国夫氏が自費出版した作品。写真の本は、9年後に審美社から出版された本。本人のあとがきに、アポロンの島は、昭和三十二年に多島海のミコノス島へ行った時のことを殆どそのまま書いたと記されている。情景が浮かぶ書き方が良い。

…ミケネの遺跡はアテネへ行く街道から少し入った所にあった。柚木浩がミケネから歩いてこの道路に出て、バスを待っていた時には日が照っていた…

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島尾敏雄氏が、この作品を評価した。

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「ブラックボックス」砂川文次

第166回芥川受賞作品。自転車走行の描写がアクティブに書かれている。後半の切り替えしも文脈が面白い。

…働くというのは、選んでいるように見えてその実選ばれる側なんだ、と思い知らされたようだった。ちゃんとできるなら今すぐにでもしたい…

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装幀:川名潤

 

「毎月1万円で2000万円つくる!つみたて投資・仕組み術」森永康平

情報を得ることは大切です。「老後2000万円問題」から1年後の2021年1月出版された本。投資の王道と呼ばれる「つみたて投資」を中心に分かりやすく書かれている。「将来のことは誰にもわからない」という当たり前のことを忘れずに、お金のことを考えてみるのも良いと思う。

…本書を読んで投資を始めてみようと思った方が1人でも多くいればうれしい限りですが、投資を始める際に気になるのは「毎月いくらから始めればいいのだろう?」ということでは」ないでしょうか?…

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