乱読からのつぶやき

2024-01-01から1年間の記事一覧

「砂の女」安部公房

鳥のように、飛び立ちたいと願う自由もあれば、巣ごもって、誰からも邪魔されまいと願う自由もある。飛砂におそわれ、埋もれていく、ある貧しい海辺の村にとらえられた一人の男が、村の女と、砂掻きの仕事から、いかに脱出をなしえたか…色も、匂いもない、砂…

「東京都同情塔」九段理江

170回芥川賞受賞作。テンポよく一気読みがいい。 …AIの文章が彼女の口を通り、その言葉が僕の耳を通過して、頭の中に確かな手触りを持った頭丈な塔が建設されていくのを、不思議な気持ちで眺めていた。ディテールが付け足され、内部の状況が次第に鮮明になっ…

「沖の稲妻」内田百閒

昭和17年発行、随筆集。戦争の事や関東大震災後の事など書かれている。 …今日までの生涯のうちに三度大戰爭に會つた。この頃の明け暮れに大空の如く覆ひかぶさつた戰爭中と云ふ氣持を古い記憶に結び附けて見る(略)戰爭中でも世間の氣持は落ち着いてゐた様…

あなたを閉じこめる「ずるい言葉」 森山至貴

大人より弱い立場にある子どもが、「ずるい言葉」にだまされないようにするためのヒントを伝えること、大人にも実感を持ってもらうための本。「いい意味でらしくない。」「そのうち気が変わるんじゃない。」など29の例が書かれ、分析・解説している。無意…

明治座筋書

明治時代の歌舞伎パンフレット 芽出柳翠綠松前 明治26年10月26日内務省許可 明治30年3月13日発行 定價金八錢