乱読からのつぶやき

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「けものたちは故郷をめざす」安部公房

戦争が終わり、巴哈林(パハリン)から、祖国日本を目指す。家を抜け出し、汽車に乗り込み、激寒の中歩いて行く様は、常に緊張感がある。眠気、飢え、凍え等人間の極限は想像を超える。最後は日本にたどり着けるのか。 …高は、最後の力をふりしぼつて、まっ…

「国境のない生き方」ヤマザキマリ

14歳で欧州一人旅、17歳でイタリア留学。シリア、ポルトガル、アメリカなどで生活。読んできた本、漫画のことを交えて、苦労や出会い、生活風景が面白く書かれている。特に、イタリア・フィレンツェで、文壇サロン「ガレリア・ウプパ」に入り浸っていたこと…

「こほろぎ」尾崎一雄

私小説短編8作納められているこの本は、会話の中に、ほのぼのと一緒に居るような感じで読める。病気がちな作者、戦中の出来事がゆっくりとした時間で流れている。「落梅」では、梅の実が落ちる6月になると母の死について思い出し、母の望み通り、脳溢血で…

「三十棺桶島」モーリス・ルブラン

三笠書房出版、保篠龍緒訳。本編に入る前のはしがきに、ルブラン作品中で最も異色ある作品である。理由として、1スリラーとミステリーを中心とした推理小説。2ルパンは何も盗んでいない。3探偵や警察が一人も出てこない。4他の作品には絶対に現れていな…