乱読からのつぶやき

2021-01-01から1年間の記事一覧

「古本マニア採集帖」南陀楼綾繁

本、古本好きの36人にインタビューした本。少しずつ1か月かけて読みました。古本の話は癒されます。古本屋に来年も行こう。 …「本の海で溺れて」とあるが、ただひとり溺れているだけでない。南陀楼さんはその海の泳ぎ方がじつによいのだ。そして、同じように…

「東京の古本屋」橋本倫史

2019年から2021年の間、10店舗の古本屋で3日間過ごした内容。古本屋の様子や、東京古書会館での古書交換会や、南部古書会館での古書即売会の様子など盛りだくさん。古本屋さんに行きたくなる〜 …お弁当を食べ終えると、皆、古書交換会が開催されるフロアに戻…

「フルハウス」柳美里

表題のフルハウスともやし2作品が読める。フルハウスは、崩壊した家族を家を建てて再建しようとする父。再建できないと分かった父は、ホームレスになってしまった家族を住まわせる。2作品ともに、怖い。 装画:望月通陽

「ひとくち童話」東君平

詩のような短い文章の中で、物語が完結している。コーヒーを飲みながらゆっくりと読みたい本。 …空びんは、ポカンと 口を あけて、台所に たっていました。「ぼくは もう やくにたたないのかな」ある日、ドロボウがはいりました。どろぼうは、空びんに つま…

「コミュニティデザインの時代」山崎亮

コミュニティデザインの先駆者。人がかわり、地域も変わる事例が紹介されている。進め方の4段階。1.ヒアリング、2.ワークショップ、3.チームビルディング、4.活動支援で行われる。地域のみんなでまちづくりの楽しさが分かる一冊。 …優れたデザインは豊かな生…

「小商いのすすめ」平川克美

移行期的混乱で、「有史以来初めての人口減を食い止める方策は、経済成長ではない。それとは反対の経済成長なしでもやっていける社会を考想することである。」と指摘している。東京オリンピック(1965年)から社会が変わったと書かれている。後半は、東日本…

「エクストリーム・エコノミー」リチャード・デイヴィス

エクストリームは、極限という意味で、極限状態の経済について書かれている。事例では、インドネシアの津波に飲みこまれた町アチェ。ザータリー難民キャンプ。ルイジアナ州立刑務所の極限経済を検証している。難民キャンプは、電子マネー(カード)が支給さ…

「ギャシュリークラムのちびっ子たち」エドワード・ゴーリー

大人のための絵本作家。1925年シカゴ生まれ。5歳で「ドラキュラ」「不思議な国のアリス」を読み、7歳で「フランケンシュタイン」、8歳になるころにはヴィクトル・ユゴーの全作品を読んでいたらしい。河出書房新社が多くの作品を出版している。シュールな内容…

「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」川上未映子

2008年1月、青土社。文庫版は、ちくま文庫。第14回中原中也賞を受賞した作品。物語性があるようでない、短文だが、脳ミソをフル回転しながら読み進めた不思議な作品。分類は”詩”になる。 …数え切れない皺に守られて慈悲を練り込んだような暗黒の象の目なので…

「今夜も満室御礼」川村晶子

1966年から30年間働いた、歌舞伎町のラブホテルでの出来事。ノンフィクション作品だが、多少大げさに書かれているかもしれない。昭和の匂いが漂う内容に微笑んでしまった。人間の本性を垣間見た。 カバーデザイン:石川かおり

「ぼくはオンライン古本屋のおやじさん」北尾トロ

2000年9月出版作品。20年前は、まだオンラインがそれほど一般的な買い方でなかった時代にオンラインの古本屋「杉並北尾堂」を開業した話。開業を考えてない方も楽しめる。後半は開業してから10か月間の日記が記され、売り上げや儲け額も載っている。楽しくも…

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」ブレイディみかこ

英国での中学校生活を長男を通し語っている。英国の貧困、差別、分断などの現状を知ることが出来る。水泳大会では、公立校と私立校と一緒に泳がない。そして、裕福な地域にある学校の生徒は、スイミング・スクールで鍛えられ、競泳用の水着を着ているのでタ…

[SDGs入門」村上芽・渡辺珠子

日本総合研究所の二人の著作。日経文庫でSDGsを読む。知っている様で知らないSDGsの基本が分かる。2015 年9月25日国連サミットで全会一致で採択された。先進国・途上国すべてがターゲットになり、誰一人取り残さないをキーワードに持続可能で貧困のない社会…

「スタンフォードの自分を変える教室」ケリー・マクゴニガル

意志力を科学的に解析し自分の意志を理解する。そして、自己コントロールを行い、なりたい自分に近づくための本。10回のスタンフォード大学の講義を本にしたもの。 …自己コントロールが筋肉に似ているといっても、まさか腕の力こぶの下に自己コントロール筋…

「これからの『正義』の話をしよう」マイケル・サンデル

2010年に出版された本。ハーバード白熱教室としてNHKでテレビ放映された。今読んでも思考力があがる内容。もし一人の命を犠牲にすれば多くの人が助けられる。そのために、その人を突き落とすことが正義なのか。人工中絶やES細胞研究容認論では、受精卵や幹細…

「一箱古本市の歩き方」南陀楼綾繁

2009年11月に発行。2005年、東京の谷中・根津・千駄木(谷根千)で「不忍ブックストリートの一箱古本市」が始まり、その後、全国に広がっていく。この本を読んでいると、身体がムズムズして来て何か始めたくなる。2011年東日本大震災、2020年、2021年コロナ禍…

「刺羽集」横光利一

昭和十七年発行、戦前・戦中のエッセイ。当時の夏も暑く、二階では暑くて本が読めず、下の涼しい部屋へ潜り水枕を造って本を読んでいる。巴里では岡本太郎と会っていることも分かる。 …暑さが加はつて來ると私の二階では本が讀めない(略)この部屋は三方明…

「ぼくはこんな本を読んできた」立花隆

読書の仕方、本の買い方、書斎についてなど書かれた本。地下一階〜三階まで本棚が並ぶ事務所のネコビルは、妹尾河童が書いた見取図と顚末記が載っている。本好きにはたまらない本。今年の四月三十日に八十歳で逝去された。 …一つは読書それ自体が目的である…

「20歳のときに知っておきたかったこと」ティナ・シーリグ

スタンフォード大学の集中講義。「手元に五ドルあります。二時間でできるだけ増やせと言われたら、みなさんはどうしますか?」「おなじ場面を二回書くという課題、一回目は恋に落ちた人の視点で、二回目は戦争で子どもを亡くした親の視点で」など、創造力や…

「柿の種」寺田寅彦

大正九年頃から、俳句雑誌「澁柿」に即興的漫談を載せて来たものをまとめたエッセイ集。「此書の讀者への著者の願は、なるべく心の忙しくない、ゆつくりした餘裕のある時に、一莭づつ間をおいて讀んで貰いたいといふ事」と記されている。寺田氏の気持ちが短…

「どんぐり」寺田寅彦/中谷宇吉郎

寺田2作品。中谷1作品から作られている。寺田の作品「団栗(どんぐり)」は、妻を亡くした寺田が、団栗拾いをする子供から妻の面影を思う内容で、明治38年『ホトトギス』に発表された短編。中谷の作品は、寺田と「団栗」の事を記した作品。 3作品を読んでか…

「アイディアのレッスン」外山滋比古

アイディアを生み出すにはどうしたらいいか。十種類の方法を身につけていくことを説いている。中絶読書:おもしろくなったところで、スピードがついたところで、あえて停止、読むのをやめる。そうすることで、慣性による発見が起きることもある。この考え方…

「ベオグラード日誌」山崎佳代子

ベオグラードはどこにあるのか、私は知らなかった。セルビアの首都であり、紀元前からの歴史ある街。山崎氏はその街に住んでいる。詩人であり翻訳家。文章からやさしさと、詩人の描写を味わいながら読んだ。暖かな家族、友人との生活のなかで、戦争という危…

「日本語練習帳」大野晋

45問とエッセイで構成された新書。単語、文法、敬語の基礎が学べる。日本語の奥深さというか、文法を再度勉強したくなった。 …自分の語彙を増やすことに関しては、小説家とか、歌詠みたちなどは、みんな非常な苦心をしています。例えば、井上ひさしさんは、…

「貞観政要」呉兢

名君の誉れ高い唐の太宗(李世民)とそれを補佐した名臣たちとの政治問答集。日本の歴史に遣唐使があったが、そのころの話。徳川家康や明治天皇も読まれたらしい。今が平穏だからといって、明日どうなるかわからない。平穏な時ほど緊張感を高め事に取り組み…

「思考の整理学」外山滋比古

1983年に刊行され、1986年に文庫化された。30年間で200万部以上売れたベストセラー。長い間売れたのには訳がある。エッセイ形式で文章が短くまとまり読みやすい。学校の学びがグライダーで飛行機を作りにくくなっていると説く。考えたことを寝かせる事や、三…

「伝わる・揺さぶる!文章を書く」山田ズーニー

仕事で役立つ本。7つの要件の思考法、より効果を出す!テクニックは、メモして文章を書くときに思い出すようにした。全体に、まとまっていて分かりやすい。 …あなたが文章を書くという事は、あなたが納得いくまで自由にものを考えてよいということだ。決めら…

「理科系の作文技術」木下是雄

理科系の視点だが、文科系が読んでも大変参考になる。文の構成、事実と表現、わかりやすく簡潔な表現等中盤が特に役立つ。文章を書くときに思い出しながら書くことにする。 …日本語では、いくつかのことを書きならべるとき、その内容や相互の連関がパラグラ…

「人生論ノート」三木清

死、幸福、懐疑、習慣、虚栄、名誉心、怒、人間の条件、孤独、嫉妬、成功、瞑想、噂、利己主義、健康、秩序、感傷、仮設、旅、個性について書かれている。昭和13年6月から「文學界」に掲載されたものをまとめたもののため、区切りが良く読みやすい。物事を論…

「仙台本屋時間」前野久美子

「book cafe火星の庭」前野さんが企画・編集された本。佐伯一麦、柳美里などのエッセイ、エリアごと本屋散歩のお話など。本、本屋のことがいっぱい書かれた本で、しあわせな気分になりながら読んだ。若かりし頃に住んだことのある仙台に、また出かけたくなっ…