乱読からのつぶやき

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「帝国の構造」柄谷行人

「世界史の構造」の出版、これを中国で解説を加え講演、それをまとめ「現代思想」に連載、そして全面的に改稿し表題を変えて「帝国の構造」が出版されたと、あとがきに書かれている。この流れがあったからか、各章ごとに区切られた量も程よく、読みやすく、…

「文學雜考」ボオル・ヴァレリイ

堀口大學譯「書物に就いて。僕が尊敬する書物の殆どすべてと、僕に何等かの點で役に立つた書物の全部とは、いづれも相當に難讀の書であった。讀者の思念は、それらの書物から、離れる事は出期来ても、端折つてそれらの書物を讀むことは出来ないのだ。或るも…

「海辺の広い庭」野呂邦暢

騎士園という離島にある修道院に行く。我が家に転がり込んで暮らし始める人。雪の中での拳銃を落としてしまう。射撃競技。記憶を無くした六号。これら短編作品5編。どれも描写が丁寧でストーリーに引き込まれていく。 料理を作って待っている熊谷がいつまで…

「土と兵隊」火野葦平

杭州湾敵前上陸記。改造社から昭和13年に出版。兄が弟へ宛てた手紙形式で書かれている。狭い船上でのこと。上陸後は、泥道をひたすら歩き、戦闘のことなど淡々と書かれている。兵隊の目線なので、これから、何処へいくのか、今、何処にいるのか分からずも命…

「せどり男爵数奇譚」梶山季之

古本屋が出て来る本にまつわるお話。戦争中発禁になった「ふらんす物語」永井荷風や、スケールの大きい話の「フォリオ」シェイクスピア初版本。少し恐ろしい装丁の話など、面白くてもっと読みたい気分。 …名所旧所を見て歩こうと云う気はない。それは絵葉書…