乱読からのつぶやき

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「汽船」小沼丹

帯に書かれている、ほのぼのとした不思議な味わいの筆致と、ユニークな作風で知られる作家・小沼丹の初期作品。のびやかな青春時代を独特のユーモアで綴る珠玉短編集。その通りの作品だった。5作品とも描写と構成が上手い。 …しかし、白樺荘に客は来なかつた…

「青春怪談」獅子文六

美男子で合理主義の慎一と、バレエに身をささげようとする千春の話。その二人をうらやむ周囲の人から、仲を引き裂こうと怪文書が届く。それぞれの親のことなど、いろいろな要素も入り交じり、昭和の白黒映画を見ているような感じで楽しく読める。 …新橋駅で…

「論語と算盤」渋沢栄一

「論語と算盤」は元々、講演口述を「竜門雑誌」に掲載し、そのなかから、編集者の梶山彬が九十項目を選んでテーマ別に編集し、大正五年に発行されている。 今回、ちくま新書で読む。この本は、「論語と算盤」の中の重要部分を選び現代語訳されたもので読みや…

「夜空はいつでも最高密度の青色だ」最果タヒ

現代詩集。あとがきに、私の詩を少しでも好きだと思ってもらえたなら、それは決して私の言葉の力ではなくて、最初からあなたの中にあった何かの力。と書かれています。言葉が頭の中に入って来て、読み終わった後、脳細胞に何かが起きた・・・ …きみが欲しい…