乱読からのつぶやき

「ABE MARIA」谷崎潤一郎

谷崎のフェチの要素を残しながら、戦後の早百合子の話。挿絵の東郷靑児の絵も色気があって良い。

…私は以前お前と一緒によく見に行った帝国館やキネマ倶楽部や金春館の時分の事を想い出す(略)私はいつもさふ思ってゐる、映畫と云ふものは人間か機械の力で作るやうになつた精巧な夢だと。人は最初に酒を作り、音楽を作り、詩を作り、そして最後に夢を作ることに成功したのだ…

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全國書房版 昭和廿二年十月二十五日發行