乱読からのつぶやき

「汽船」小沼丹

帯に書かれている、ほのぼのとした不思議な味わいの筆致と、ユニークな作風で知られる作家・小沼丹の初期作品。のびやかな青春時代を独特のユーモアで綴る珠玉短編集。その通りの作品だった。5作品とも描写と構成が上手い。

…しかし、白樺荘に客は来なかつた。既に秋風が吹き、落葉松林に雨なんか降ると何やら粛条たるものを覚えるやうになつても、客は現はれなかつた。僕らはもう、白樺荘もおしまひだと考へた…

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題字:木村加光 改装版

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