乱読からのつぶやき

「天、共に在り」中村哲

アフガニスタンで医師として活動し、旱魃(かんばつ)から餓死する人々を救うため、井戸を掘り、用水路の建設を行った。伯父に火野葦平がいる。2019年12月4日アフガニスタンで銃撃され死去。この30年の体験談、用水路の研究等に感動。惜しい人を失った。

…数百年ぶりの大洪水、集中豪雨などの天災だけでなく、米軍による誤射事件、地方軍閥の妨害、反米暴動、技師たちの脱走、裏切り、盗難、職員の汚職と不正、内部対立、対岸住民との角逐(かくちく)、用地接収をめぐる地主との対立、人災を挙げれば枚挙に暇がない。個人的にも…

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…小高い丘から望むと、沙漠に囲まれる緑の人里は、壮大な天・地・人の構図だ。厚い砂防林の森が、沙漠と人里とを、くっきりと分けている。過酷な自然の中で、人間は身を寄せ合って生きている。(略)自然は喋らないが、人を欺かない。高く仰ぐ天が、常にあることを実感させる。絶望的な人の世とは無関係に、与えられた豊かな恵みが在ることを知らせる…

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…信頼は一朝にして築かれるものではない。利害を超え、忍耐を重ね、裏切られても、裏切り返さない誠実さこそが、人々の心に育まれる…

終章・日本の人々へでは、自然から遊離する現在日本を気にかけている。生活の当たり前を考え直してみたい。