乱読からのつぶやき

「三等旅行記」林芙美子

東京から巴里。巴里での生活。満州鉄道。表題の通り三等車両での汽車の旅や安アパートでの生活の旅行記シベリア鉄道では、のどかで露西亜人の話が楽しい。巴里での生活も女性が異国の地で過ごす逞しさを感じつつ、時々涙した記載があり繊細な心模様も感じられる。初めて見る・感じることが楽しく書かれており、読み終わるのが寂しい。

…日本では舌を鳴らすと、チェッとかの嫌な意味ですが、露西亜では、ホーオとか何とか良い意味らしい。(略)時々、隣室のゲルマンスキーがレコードをかけます。寒い一望の野を走る汽車の上で、音楽を聞いたせいか、涙があふれて仕様がありませんでした…

…台所と云えば、巴里の住宅は、ほとんどアパルト住ひが多いので、日本の様に、あんなに決まりきった台所を所有している家は少ない。それに、たいていは、戸外のレストランを利用する家族が多いので、大した台所も必要ではないのであらう…

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