乱読からのつぶやき

「そら色の窓」佐々木美穂

原宿にあるZakkaで修業し、現在はフリーランスイラストレーター。エッセイやコラムの執筆もされている。文章が優しくて癒される。もっと読みたい。

…その頃から、ずっと好きなのはドローイングだ。鉛筆やボールペンなど、普通の道具で描かれた線や文字。それなのにページからものすごい力が溢れてくる。棚に戻して別の本を手にとっても、まだ、さっきのページが頭から離れない。もう一度手にとって、また眺める。値段をみて、自分の生活のことを考えると、ちょっと無理な気がする。だけど頭の中では、すでに、この本が自分の部屋の本棚の中にあることを想像しているのだ(中略)自分を納得させて、ついには本を手に入れて帰ってきてしまうのだ。帰りの電車の中で、左手にあるずっしりした本の重さは、まるごと幸せな重さだった(中略)本の最後のページには、お店の人が書いた本の値段がついている。鉛筆で書き込んであるから消そうと思えば消せるのだけど、それは何だかお店のサインみたいだから、そのまま大切に残してある…

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