乱読からのつぶやき

「片乞い紀行」古山高麗雄

「旅」雑誌に執筆されたもの。北海道から沖縄まで、車、電車、船などで気ままな一人旅。最後の項は、奥様と旅行。この本を読んだら、無性に旅に出たくなった。飛行機でも電車でも車でも何でもいいから。

…とにかく私は旅が好きだ。好きなことで、できることは、せいぜいやらなくちゃ、と思うのである。今の私は、なにかやたらに仕事に追いまわされているが、その気になれば月に四日や五日、あるいは、ふた月に四日や五日ぐらい、旅行できないこともあるまい…

…何年か振りかに船旅をしてみて、船はいいな、と思った。途中、うんざりするほど時間のかかる旅。そういう旅の味を、随分長い間忘れていたが、そして、なんとなく、もうそういう旅のなくなった世の中になってしまっているような気になっていたが、ここにあるではないか。点から点へひょいと運ばれてしまう感じの旅行に対する欲求不満が、満たされた気分である…

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装幀:和田誠