乱読からのつぶやき

「ベオグラード日誌」山崎佳代子

ベオグラードはどこにあるのか、私は知らなかった。セルビアの首都であり、紀元前からの歴史ある街。山崎氏はその街に住んでいる。詩人であり翻訳家。文章からやさしさと、詩人の描写を味わいながら読んだ。暖かな家族、友人との生活のなかで、戦争という危うさが常に付きまとっている。

…異国、だが同時に第二の母語に生きている私にとって、翻訳は生きる意味そのものになった。朝から晩まで、二つの言葉の迷路を私はさまよっている。迷路は夢にも現れる。目覚めると、どちらの言葉で夢見たのか考える、いつからか、それが癖になった…

…夜かずこさんの「新動物詩集」が見当たらず、親友を失った気持ち。仕事部屋を大掃除、詩集が見つかる。よかった。書棚に、大切な詩人の書物が家族のように住んでいた…

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写真:ジタレビッチ