乱読からのつぶやき

「刺羽集」横光利一

昭和十七年発行、戦前・戦中のエッセイ。当時の夏も暑く、二階では暑くて本が読めず、下の涼しい部屋へ潜り水枕を造って本を読んでいる。巴里では岡本太郎と会っていることも分かる。

…暑さが加はつて來ると私の二階では本が讀めない(略)この部屋は三方明け放してあるので、どちらを向いても強い光線が眼に射し込み、本を中軸にいつの間にかコンパスの足みたいにぐるぐると身體を廻してゆく…

…世界を動かすものは、所詮、言葉である。行動はこれから後である。ラヂオと新聞が間違ひをすれば、世界は間違ひのままに進むかもしれぬ…

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装幀:佐野繁次郎