乱読からのつぶやき

「外科室・海城発電」泉鏡花

初期の代表作7編。明治期の表現で読みにくさはあるが、医師と患者の間柄で再開し手術する話や、検察官と殺人犯の間柄の話など内容にインパクトがある。

…渠は有間惘然として佇みぬ。その心には何を思ふともなく、きよろきよろと四面を眗せり。幽寂に造られたる平庭を前に、緑の雨戸は長く続きて、家内は全く寝鎮りたる気勢なり。白糸は一歩を進め、二歩を進めて、いつしか「寂然の森」を出でて、「井戸囲」の傍に抵りぬ…