乱読からのつぶやき

「どんぐり」寺田寅彦/中谷宇吉郎

寺田2作品。中谷1作品から作られている。寺田の作品「団栗(どんぐり)」は、妻を亡くした寺田が、団栗拾いをする子供から妻の面影を思う内容で、明治38年ホトトギス』に発表された短編。中谷の作品は、寺田と「団栗」の事を記した作品。

3作品を読んでから、「団栗」を読み返すと、より味わい深い「団栗」となった。この本は、古書善行堂店主の山本善行撰。オレンジ色でつつまれ、触った紙質も良く手になじむ。

…団栗を拾って喜んだ妻も今はいない。御墓の土には苔の花が何篇か咲いた。山には団栗も落ちれば、鵯の啼く音に落ち葉が降る。今年の二月、あけて六つになる忘れ形見のみつ坊をつれて、此植物園へ遊びに来て、昔ながらの団栗を…

f:id:keis7777777:20210613143656j:plain

装幀:野田和浩